壬生町の観光と歴史

壬生寺

壬生寺

 

壬生寺は壬生城址公園の北側に位置する天台宗の寺院です。
慈覚大師の御誕生地と伝わる名刹。
聖跡とも呼ばれ、壬生町が誇る古刹です。

 

慈覚大師(円仁)は794年に有力豪族壬生氏の子として当地に生まれました。
幼い頃から仏教を学び、15歳になると比叡山延暦寺に入山して最澄に師事。
その後には遣唐使として唐への留学も果たしました。
帰国後には全国を行脚し、最先端の知識を活かして開拓や架橋などの社会事業に取り組んだ名僧。
日光山輪王寺・平泉中尊寺・山寺立石寺をはじめ、全国に500もの寺院を建立したそうです。
全国行脚の後、大三世天台座主となった大僧侶です。

 

 

江戸時代初期、壬生寺は荒廃していました。
そんな折、日光への道中で当地に立ち寄ったのが門跡天真親王。
慈覚大師縁の寺院の荒廃ぶりを嘆き、当時の壬生城城主に命じて大師堂を建立し、復興を果たしたそうです。

 

慈覚大師の生誕地は諸説あるものの、江戸時代の文献に当地が「お里」と呼ばれていたと記されており、長きに渡り生誕地と言い伝えられてきました。
1964年には慈覚大師の研究家であったライシャワー米駐日大使が参拝に訪れています。

 

そう聞くと、さぞかしかしこまった寺院をイメージしますが、壬生寺があるのは住宅街の一画。
隣には壬生寺保育園があり、子供たちの元気な声が聴こえてきます。
こじんまりとした親しみやすいお寺です。

 

立派な山門の脇には「慈覚大師誕生地」の石碑。
山門を入って右側には大銀杏の樹があります。
樹齢400年〜500年、高さ約22mの大銀杏で、栃木県指定の天然記念物です。
周囲の建物より一際高いため、遠くからでも確認できます。
夏には生命感みなぎる緑に繁り、秋には美しいイエローに染まります。
樹齢に加えて、天にも届きそうな勇壮から、パワースポットとして有名です。
境内には桜の樹もあり、春にはお花見スポットとしても親しまれています。

 

境内は広々としていて、綺麗に管理されています。
威風堂々たる本堂に祀られているのは不動明王。
江戸時代に造られた2体の慈覚大師像も安置されています。
唐破風に施された龍や鳳凰の彫刻も立派です。

 

本堂の左には慈覚大師堂。
朱に染まった美しい建物です。
中の天井は格天井になっていて、格子内には色鮮やかな菊紋が描かれています。
こちらは近年、宇都宮市にある文星芸術大学附属高等学校の生徒さんたちによって修復されたものだそうです。
郷土愛が伝わってくるお堂です。

 

境内の左には「産湯の井戸」と呼ばれる井戸があります。
慈覚大師が生まれた際に、産湯としてこの井戸の水が使われたと伝わっています。
安産の水としても有名で、水を汲みに来られる参拝者も多いそうです。
大銀杏と並ぶパワースポット。
この他、境内には六地蔵堂や鐘楼・大香炉などの見所もあります。

 

人気の御朱印はもちろん、授与品も充実しています。
一番人気は壬生寺名物・開運風水だるま。
赤だけでなく、青・緑・黄色・紫・金色など計10色のダルマがあり、色によって祈願内容が異なっています。
高さ10センチのカラフルでかわいいダルマです。
干支のお守りや水晶の数珠なども提供されています。

 

 

元旦の新年大護摩供から始まる年中行事も魅力です。
中でも4月第3日曜日に行われる「壬生円仁大師まつり・慈覚大師春季例大祭」は多くの参拝客でにぎわいます。
火の上を歩く「火渡りの儀」が行われ、参拝者も参加可能です。
慈覚大師ゆかりの壬生寺で「火渡りの儀」を行い、悟りの境地に手を伸ばしてみるのも一興です。

 

住所:栃木県下都賀郡壬生町大師町11-17
TEL:0282-82-0811

 

アクセス
東武宇都宮線壬生駅より徒歩20分(約1キロ)
北関東自動車道壬生ICより車で10分
(山門前に無料駐車場あり)